農法はピンからキリまで、何を大切にするかが大きな違いを生みます


大規模の慣行農法・利潤追求型農法の落とし穴

利潤を求めるにはまず収量の増大こそが避けられないテーマです。その為には肥料、とりわけ即効性のある化学肥料を頻繁に多く与えるのが一番の近道です(一見)。化学肥料を与えると、なんと翌日にはその効果が見えてきます。どんどん成長し長大化してゆきます〜〜〜目先の目的は達成です。

 

ところが良い事ばかりという単純な世界ではありません。植物は、動物と異なり、吸収する肥料を自身で制御する事はできません。従って、与えられたら与えられただけ吸収してしまい、肥料過多の状態に陥ります。こうなると、第1に味が落ちます(大味で水っぽくなる)、さらに少し専門的になりますが硝酸態窒素が植物内に蓄積してしまい、それを食する人体に与える影響も心配されます。

 



農薬は野菜の見方? 虫は野菜の敵? 

自然界では話は更に複雑になります。特に過剰な窒素分はタンパク質に合成されるまでもなくアミノ酸のまま残ってしまいますが、これは虫達の大好物なのです。寄ってくる程度なら良いのですが、特定の虫が爆発的に繁殖をします。植物側からすると、こうやって余分なものを取って貰っていると言えます。しかし一方、過度の肥料を与えられた植物は、生きて行く努力なくいわば甘やかせて育てられた状態になるので、どうしても抵抗力・免疫力が低下しています。元々宿している自然治癒力も衰えます。本来は虫に一部が食害されると植物は身を守る為に一斉に虫の嫌いな成分を出すなど自己防衛をする仕組みを持っていますが(例:タマネギの刺激も料理人の涙を誘う為ではなく虫を撃退する為なのです)、機能不良となってきます。そうすると病気にもかかりやすくなります。健康が損なわれる結果となります。

 

このままでは、急成長した植物は結局その目的を果たせません。そこで人間は何をするかと言うと、虫や病気に効く「農薬」を憎しみを込めて撒くのです。皆さんも一般の農地で農薬を撒いている様子を見た事があると思いますが、びっくりする程の量です。統計的には、単位当りの農薬使用量は日本では米国の7倍、フランスの4倍となっています。ニュージーランドの何十倍とも言われます。また、中国については信頼できるデータがありませんが、あの中国よりも日本の方が多いと言われています。こわいですネ。

 

 

 


農薬散布の後は?

農薬は生物を殺傷する毒です。人間にだけ害がないという都合のよい農薬は存在しません。強い農薬と比較的マイルドな農薬がありますが、いずれも大小さまざまな虫に対する「致死量」を計算して撒いています。残留農薬により人間が死ぬ事はないようにコントロール・規制されていますので過度な心配はいりません。でも直接的な原因で死ななければ良いと言うものではありませんよネ。人生を楽しみ快適な生活をおくるには私達は日頃から健康を保つ必要があります。

 

農薬によって植物に付く大小の虫が死ぬのですから、もっと小さい生物 ― 即ち小指の先ほどの土壌に1億匹以上いる土壌微生物は瞬く間にいなくなります。野菜に限らずあらゆる植物は土壌微生物と強い共存・共栄関係にあります。農薬により植物の親友や相棒がいなくなります。植物の為と思って撒いた農薬が植物の幸せを奪っています。自然の営みが徐々に壊れてゆきます。

 

自然界はもっと複雑に変遷を遂げます。今度は農薬に負けない虫達が生き残るという変化が起きます。この段階では農薬によって既に天敵の多くも死滅してしまっているので、強くなった虫達の天下となります。益々特定の虫が増えて人間を悩ませます。でも人間も負けていません、生き残りをかけた戦争 ― もっと強い農薬ともっと強い虫の遺伝子との戦いです。終わりが見えない戦争です。

 

善良なる消費者の意識がいずれ戦いをやめさせるものと信じたいと思います。この戦争の中で実はかわいそうなのが農民です。農薬を散布している農民は消費者の口に入る残留農薬の100倍の量を被爆していると言われているからです。

 

 

 


F1種子って何?

F1種子をご存知ですか?今の一般の野菜市場で出回っている殆どがF1種子から生まれた野菜という事態になってしまいました。F1種子とは一代交配種子とも呼ばれ大手種子メーカーが開発・生産し農家や一般菜園家に販売している種子です。世界的な大手企業はモンサント、デュポン、シンジェンタそしてダウ・ケミカルで、世界の市場をほぼ独占しています。種子を征するものが世界を征すと言われており、血なまぐさい戦いがあります。

     

F1種子を撒けば、大きさ・形・品質・収穫時期にバラツキがなく企画された通りに一定になるという利点がありますので、農作業・流通に最大級のメリットがあります。大手企業が肥料や農薬も供給している為か栽培方法も総合的に確立されており、化学肥料の施肥量・時期、更には農薬散布についても確立した方法があり、それを守りさえすれば失敗はありません。定数が隙間なくピッタリ入る梱包箱も支給されるのですから手間・無駄がないよう仕組まれています。何か工場で大量生産されたモノと農産物との差がなくなって来ましたネ。

 

F1種子は農薬と化学肥料を施す事を前提として開発されたので、これらなしでは自然界で植物としての生を全うできないと言っても過言ではありません。もはや自然の恵みといった要素が感じられなくなったのは残念な事です。

 

 


一代交配(F1)種子に違和感を覚える

良いことずくめのようですが、世の中は単純ではありません。F1の実に宿す種を翌年撒いても同じ良いものはできません。形状・品質にバラツキも生じますので儲かりません。従い、農家は毎年高いお金でF1種子を購入しなければなりません。さすが大企業はコンスタントに儲かる仕組みを考えていますネ。

 

F1種子はどのような方法で作られているかご存知でしょうか?色々あるようですが、雄性不捻(ゆうせいふねん)という突然変異を活用する方法がその代表です。専門的になりますが、F1種子を作るには、特定の遺伝子をもつ雌とそれとは異なる遺伝子をもつ雄という組み合わせが必要です。自家受粉(ひとつの花の中で雄しべの花粉が雌しべに受粉すること=即ち同じ遺伝子をもつ雌雄で受粉)してしまうと計画しているF1は出来ませんので、雄しべ(花粉)のない突然変異体を利用して(即ち自家受粉は起きない)特定の遺伝子をもつ花粉を受粉される方法を編み出しました。この方法を毎年繰り返して効率よく大量にF1種子を作っています。でも本来自然界で生きて行けない奇形種(雄しべ=花粉がない種)が主役となって作った種、そこから出来た野菜を人の体に入れること自体に違和感を感じる人も少なくありません。これらの突然変異を起こさせる最も簡単な方法である放射能被爆を使用していても不思議ではありません。

 


 


自然観を取り戻したい

いま科学と資本があれば何でもできる時代になっています。遺伝子組み換え、或は、F1種子については人体に対して、また、自然界に対して、その影響度合いはまだ科学的に証明されていないようです。しかしだからと言って、それまでは何をしても良いと言うことにはならないと思っています。

 

私達が「菜祝ぎ日記〜神代桜の里から」の菜園で撒いている種の殆どはF1ではなく固定種と呼ばれる古来からある種です。無農薬野菜でもちろん味もしっかりと美味しいです。自然の営みを尊重し、その中でのびのびと育っているからでしょう。